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          ~その5 高ストレス者への面接指導の方法と注意点~



ますます重要になる人事・労務のコンプライアンス

コラム執筆者プロフィール

川島孝一 氏

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。


第039回 本年中に実施が義務付けられたストレスチェック制度
          ~その5 高ストレス者への面接指導の方法と注意点~

(2016年7月)

 これまで、ストレスチェック制度の概要から具体的な運用方法について、複数回にわたって紹介をしてきました。
 今回は、高ストレス者に該当した従業員に対する会社側の対応方法を説明します。

<面接指導の実施方法について>
 ストレスチェック制度では、職業性ストレス簡易調査票等を用いてストレスチェックを行い、その結果が評価基準を上回った方は「高ストレス者」として選定されます。
 この高ストレス者として判定された方には「医師の面接指導」を行うのですが、会社は高ストレス者に対して強制的に面接指導を受けさせることはできません。そのため、会社は結果の通知とともに「面接指導の申出窓口」を知らせ、高ストレス者が面接指導の申出をするように勧奨していく必要があります。

 高ストレス者から面接指導の申出があった場合、会社は以下の手順で実際に面接指導を進めていくことになります。
 それぞれのフェーズで注意点がありますので、順番にみていきたいと思います。

1.事業者は、面接指導の申出をした労働者が、面接指導対象者に該当するかを確認する。
 面接指導は、あくまでも従業員からの申出があってから実施します。面接指導の申出をした者が、本当に面接指導の対象者になっているか否かを会社が確認する方法についても、あらかじめ社内規程として定めて、労働者に周知しておく必要があります。
 面接指導の申出を受ける際には、従業員からストレスチェックの結果を提出してもらった方が、高ストレス者に該当しない方が面接指導を受ける事態は避けられます。

 面接指導を受けることを希望する旨の申出は書面や電子メール等で行い、会社はその記録を5年間残すようにしてください。

2.面接指導を行う医師を決定し、面接指導の日時・場所を調整する。
 面接指導を実施する医師としては、当該事業場の産業医または事業場において産業保健活動に従事している医師が推奨されています。
 労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用する事業場は「産業医」を選任する義務があります。そのため、ストレスチェック制度を行う必要のある会社は、すでに産業医を選任しているはずです。あらかじめ、産業医に高ストレス者の面接指導を行ってもらえるかどうかの確認をしておいた方が良いでしょう。
 なお、面接指導は精神疾患の診断や治療を行うものではないので、選任している産業医が精神科医や心療内科医でなくても、高ストレス者への面接指導を行うことは可能です。

 面接指導は、申出があってから概ね1か月以内に実施します。また、面接指導は原則として就業時間内に受けられるように準備する必要があります。そのため、スムーズに面接指導を受けられるように、対象者の上司等の理解を得ておくことも重要です。
 さらに、面談での聴取、評価とセルフケアをはじめとする指導が1回では終わらない場合もあります。複数回の面接指導となるケースも想定して、労務管理上の取扱いをあらかじめ検討しておいた方が良いでしょう。

3.医師による面接指導を行う。
 前回でも紹介したように、ストレスチェックは次の3つの項目により判定します。
1)職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
2)当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
3)職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
 さらに、高ストレス者の面接指導においては、上記に加えて以下の3つについても医師が確認することになります。
4)当該労働者の勤務の状況
 ・当該労働者の労働時間、業務の内容
 ・ストレス要因となりうる職場の人間関係や前回検査以降の業務・役割の変化の有無
 ・他の労働者による当該労働者への支援の状況
5)心理的な負担の状況
 ・ストレスチェックの結果をもとにした抑うつ症状等についての把握
6)その他心身の状況の確認
 ・過去の健診結果や現在の生活状況の確認
 ・必要に応じて、うつ病等や一般的なストレス関連疾患を念頭においた確認

 職業性ストレス簡易調査票等の判定の場合、従業員それぞれの状況までは把握をすることができません。そのため、面接指導では、4)~6)の項目を加えることによって、それぞれの従業員に合った対応を行うことが期待できます。

 すべての項目を確認後、医師が従業員に対して次のような医学上の指導を行います。
1)保健指導
 ・ストレス対処技術の指導
 ・気づきとセルフケア
2)受診指導(面接指導の結果、必要に応じて実施することになります。)
 ・ 専門機関の受診の勧奨と紹介

 なお、面接指導は対面で実施するのが原則ですが、情報通信機器(ICT)により実施することも可能です。情報通信機器を利用して面接指導を行う場合は、厚生労働省がその留意点を公表していますので、厚生労働省のホームページ等で確認をしてみてください。

4.面接指導結果の報告を受け、必要に応じ就業上の措置を講じる。
 面接指導を行った医師と産業医が別の場合などイレギュラーなケースも考えられますが、原則として面接指導終了後、会社は1か月以内に面接指導を実施した医師から意見を聴取しなければなりません。
 ルールでは「1か月以内」になっていますが、従業員のストレスの程度等の健康状態から緊急に就業上の措置を講ずべき必要がある場合には、可能な限り迅速に意見聴取を行いましょう。
 ストレスがかかっている理由が、セクハラやパワハラ等の職場の人間関係に問題があることも考えられます。最終的に就業上の措置を講じる場合は、情報管理も含めた慎重な対応が必要になります。

<最後に>
 平成27年12月に「ストレスチェック制度」がスタートしました。施行されて初年度ということもあり、人事担当者でも実務的な部分まで把握をしている方はまだ多くはないようです。
 しかし、メンタル不調の問題は今後もっと企業の頭を悩ませていくと考えられます。決して対岸の火事ではありません。
 しっかりとストレスチェック制度を理解し、有効に活用して頂ければと思います。

※本コラムは執筆時点で公となっている情報に基づいてコラムニストが執筆したものであり、コラムニストの意志を尊重し原文のまま掲載しています。
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